先日、緩和ケア病棟の今年で10回目「すずらんのつどい」が開催され参加しました。これは毎年、緩和ケア病棟で看取り退院された患者様のご遺族の方をお招きした会です。今回は11人の患者様のご遺族13人の方が参加されました。
会では、病棟の風景やスタッフのコメント動画、事前に了解がとれている患者様の入院中の写真がスライドショートして披露されました。その後、5グループに分かれて、ご遺族とスタッフの歓談が行われます。私のグループでは、2人の患者様の各1人ずつのご遺族が参加されており、それぞれが入院中に自宅へ一日だけ外出したり、自宅へ一週間だけ退院できたり、と経過が似ている患者様でした。外出や退院に際して準備したことや苦労したことなどが語り合われました。それぞれが良い思い出として語られたことが印象的でした。「その日は子2人と孫5人が全員揃って自宅で迎えた。長くて、短くて、うれしくて、悲しくて、いろんな思いが入り交じった、忘れることができない最高の一日だった。スタッフの皆さんのアドバイスとサポートがないと実現できなかった、感謝しています」と涙ながらに語っていただけました。
ホスピス財団による2018年の遺族ケア・追悼会に関する研究においては、追悼会の参加者の抑うつを数値で表す得点が非参加者よりも高い傾向にあり、参加者には丁寧な支援が求められること、不参加の理由として「特別な催しや支援がなくても乗り越えられる」(58.2%)が最も多かったことがわかりました。
参加の理由では「会いたい,話したい医師・看護師などがいた」が最も多く、参加により『スタッフとの会話』や『イベントや催し』を経験することで、つらい気持ちをもちながらも人との交流の機会を得て、心のよりどころとして追悼会を活用できる可能性があると考えられたと報告されています。
この研究結果においても、当院のすずらんのつどいが今後も一層ご遺族の皆さんに必要なものとわかります。
毎年緩和ケア病棟のスタッフが実行委員長として開催の責任者となります。今年は和田看護師が担当しました。ご遺族やスタッフへの連絡やスライドショー作り、物品準備などを行います。スタッフにとっても医療の原点を思い出させる良い会でした。お疲れ様でした。
参考文献:北得 美佐子 遺族からみたホスピス・緩和ケア病棟による望ましい遺族ケアの提供に関する研究(J-HOPE4)2018