Vol.81

患者体験から病院の接遇や在り方を考える

先日少し体調を崩し、平和病院の医療のお世話になりました。採血を2回、生まれて初めてのCT検査、点滴を4回受けました。初回の点滴でかなりよくなり、翌日にはほぼ症状はなくなるくらいの軽いもので済んだのですが、そのときにいろいろと思わぬ患者体験をしました。普段は目の前をたくさん通り過ぎる患者さん一人ひとりが、いろんなことを考えながら病院に来て、病院を後にするんだなと思いました。

私の経験では、例えば、痛みや症状に対してどれだけ早く対処してくれるか(やむをえない待ち時間は仕方ないとして)、病状の先行きの不安(手術になって、入院が必要になるのではないか)、病院代が高いこと(1日目の診察・採血・CT・点滴・処方で1万円弱)、点滴中は意外と人の目が気になる、スタッフの私語が気になる、一つひとつの声かけに救われたこと(なにげない「お大事にしてください」もどれだけありがたいか)などです。

ちょっと意味は違ってきますが、この患者体験の見える化をしている研究がイギリスで実践されています。イギリスの国営医療サービス事業者であるNHS (国民保険サービス)は積極的にこの体験志向を医療現場に活用してきました。その研究によれば、以下のようなことが証明されています。

  • 良い医療体験を受けた患者はより良い医療効果を享受できる。
  • 病院スタッフが十分にケアされた状態にあれば患者の体験に良い影響を与え、逆に患者がよくない体験をすればスタッフの体験も悪化する。
  • よくない経験により患者の医療効果は悪化し、長期間入院または処置を受けなければならなくなり、より高い費用につながる。
  • 患者がよくない体験を受けると組織の評判を落とす。

などです。当院でも患者満足度調査や退院時患者アンケートを実施して、そのときどきの貴重なご意見を参考に病院運営をしています。改めてよく見直してみたいと思いました。