Vol.119

「共同のいとなみ」~民医連の患者-医療者関係

新入職員が病棟など各職場でメモをとりながら、新しい一歩を踏み出しています。私たちもこの季節は新卒のときはどうだったかな、と思い出す時期ではないでしょうか。病気を診るのではなく、一人の人間として診る、ということをよく耳にします。さらには、生活背景やその人の人間関係、社会関係をよくしていくことで真に患者に寄り添うことも私たちは大事にしています。

民医連ではそういった患者-医療者関係のことを、「共同のいとなみ」として表現しています。これは1986年に、医療を、人権を守るための患者・住民と医療従事者との共同のいとなみとしてとらえることを提起したことが始まりで、現在の民医連綱領にも記述があります。医療制度を良いものにしていく運動の面だけにとどまらず、医療現場での患者―医療者関係においては、パターナリズムにも顧客主義にも陥らない「患者中心の医療」の羅針盤とし、患者が主体者として参加する患者の権利の発展にも寄与してきました。また医療の質においても、「医療はお金で買うもの」というような市場原理に傾くことを防ぎ、安全や倫理などでもその根本に基本的人権を据えたものとして発展させる力を発揮しました。

医療生協の組合員活動を、民医連の側からは共同組織運動と表現しますが、この共同のいとなみの意味のあらわれです。私が研修医のときに三谷支部の班会へ行って、熱烈に歓迎されたことを今でも憶えています。健康な住民が医療者側に期待すること、病気や健康に関する不安、改悪が続く医療制度への怒りなど、いろいろと教えていただきました。そのときの中心メンバーは今でも私が主治医の患者として通院してくれています。

新入職員の皆さんも是非フレッシュなうちに健康な住民と関わりをもって、病気になる前の意識、病気になってしまった後の気持ちを理解しようとすることで、共同のいとなみを体感できるのではないかと思います。新入職員のいる職場の職責者の皆さんは新入職員が班会に参加できるような配慮をお願いしたいと思います。