Vol.107

医療崩壊を防ぐための請願署名

現在、全日本民医連から「医療崩壊を防ぐための緊急行動」が提起されています。具体的には、請願署名(正式名称「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める請願署名」)を全国で100万筆を、香川県では1万2200筆を来年1月までに集める目標です。病院の経営に大きく影響する診療報酬が急激な物価や人件費の上昇に追い付いていないがために、全国の7割の病院が赤字経営であり、倒産や廃業する医療機関は過去最多となっています。

署名を集めるために、当院では診察室、待合、会計前、健診、リハビリ、各病棟で署名コーナーを作り、各部署のスタッフが利用者の方に署名の訴え・声かけをさせていただいています。他の事業所でも取り組まれており、へいわこどもクリニックと生協へいわ歯科のスタッフ合計22名が田町交番前で道行く住民に訴え、短時間で25筆が集まりました。高松協同病院で10月19日に開催された健康まつりで署名ブースが設けられ101筆が集まりました。

民医連でよく使われる言葉で、「たたかいと対応」というものがあります。「対応」とは今ある法制度の枠の中で努力・工夫をして成果を得るもので、当院が今年9月から3階病棟の一般病床6床を地域包括ケア病床に転化させて経営改善を図ろうとする取り組みが最近の例です。「たたかい」とは、今ある法制度の枠の中ではどうがんばっても成果が出せないときに、その枠自体を拡げること、国民・住民の権利としての社会保障制度の拡充を求めていくことです。目の前の困っている人を助けるためには、ときには社会に対して声を上げることが必要であり、社会的信頼のある医療従事者だからこそ力を合わせて行動し、救えるいのちやくらしがあります。いまの政治をみているとしばらくは社会保障削減の動きが続きそうであり、私たちが現場から声を上げ続けていかなければなりません。

平和病院待合に設置されている署名コーナー