香川医療生協主催の病院経営検討会が先週末に開催されました。詳細は省きますが、現在の厳しい病院経営環境の元、いかに赤字を減らし黒字体質にしていくかについての情勢学習と熱い議論が交わされました。
その中で、全日本民医連経営部担当副会長である、松江生協病院院長の眞木高之氏の「個別最適は全体最適に合致していますか?」の講演を紹介します。
眞木氏は病院や医師組織の中での存在感を高めるために、循環器、中でも不整脈に対するカテーテル治療の専門医として研鑽を積み、病院のために貢献してきました。しかし、あるときデータをとってみると、地域の中で松江生協病院が本当に求められているのはもっと高齢の患者、例えば誤嚥性肺炎を適切に診療することであることがわかりました。
翻って、医師やスタッフがしたいこと(=個別最適)は病院が地域から求められていること(=全体最適)と合致しているかとの重い問いでした。10年前と比べて、診療報酬や物価の高騰、消費税増税、人件費の高騰など、医療の経営環境は圧倒的に悪化しています。また地域の中で医療環境もずいぶん変わっています。自分たちがやりたい医療を、スタイルを変えずにしていると自ずと赤字になってしまうのはどこの病院も同じです。赤字のままでは病院の存続すら成り立たたず、地域に病院を運営し続けることができません。柔軟に進化し続けることが大事です。
質ややりがいといった個別最適、地域で病院を運営し続けるという全体最適。私たちは最善の医療を地域に提供している、と思っていたら、いつの間にか大赤字になっていた、ということにならないように、常にチェックしながら全体最適を図っていかなければなりません。

経営検討会の様子