今年度の平和病院の病院目標は、【地域の中でなくてはならない病院となる】です。
この「なくてはならない」、ひいては「最後の砦」について考察します。
この言葉を痛烈に意識したある患者さんのことでの他病院とのやりとりがありました。その病院はある疾患においては地域の中でトップの対応を行っており、県外からも多数の患者さんが来院するような病院です。しかし、この患者さんとのやりとりの中で、その病院では外来での診療はするが、もう入院医療は診てくれないことになり、当院でお願いしたいとのことでした。その中で担当の医師が言った言葉が「うちも最後の砦を自認しているのですが、残念なことになってしまって、申し訳ない」ということでした。
どこの病院も、特定の分野において他病院よりも一歩抜きんでているものを持っているはずで、そこに自病院の地域における存在価値を見いだしています。医大・県中・日赤は救急や最先端医療でしのぎを削っており、どこもなくてはならない存在です。他の病院もそういった思いで日々診療にあたっていると思います。
では、平和病院にとっての「なくてはならない・最後の砦」とはどんな分野でしょうか。緩和ケアと在宅医療が最たる医療内容上の強みと自認していますが、私院長の思いとしては、人を大事にする組織であるということを最後の砦にしたいです。最も困難なところに置かれている患者・住民に丁寧に対応する、SDH・人権・ケア・高い倫理観などをキーワードにいのちや暮らしを守る仕事ができる、ということを大切にする職員集団でありたいと、年度初めの病院目標として考えました。

内科待合:患者さんが待ち時間に折った木の花