このほど香川大学総合診療学講座教授に市来智子先生が新しく着任されました。2018 年度に始まった新たな専門医制度において、19番目の領域に総合診療医が位置づけられ「プライマリ・ケア」と「地域の健康問題への対応」ができる医師と定義づけられました。しかし、現在までの専攻医数は想定された数に比べてかなり少ないと言わざるをえません。
香川県内では7年間で2名(第1号は当院の専門研修プログラムを修了した植本真由先生、第2号は当院の初期研修を修了し、現在三豊総合病院の専門研修プログラムを研修中の現専攻医2年目の馬越先生)であり、残念ながら全国最低数です。四国では直近5年間で徳島県3名、愛媛県5名、高知県3名とやはり苦戦しています。
現代の超高齢社会では、県内の基幹病院で複数の臓器別専門医が診ている疾患に対応して総合的に救急診療まで含めて「総合内科医」として診療ができる医師が求められています。また一方では在宅ケア、介護、予防医療、生活支援までの地域包括ケアシステムの担い手として地域を診る「総合診療医」の両方の社会的ニーズが高まっています。(香川大学医学部総合診療学講座のホームページから)
香川県内には現在総合診療専門研修プログラムが4つ(4病院:香川大学医学部・香川県立中央病院・三豊総合病院・高松平和病院)ありますが、それを一本化しようと『かがわ総合診療研究会』を立ち上げて、勉強会(Sanuki GM カンファレンス)を定期的に開催し、医学部生や研修医にアピールしています。4つの病院で研修医を取り合うのではなく、総合診療の魅力を発信して、一人でも多くの学生に合流してもらうようにパイを大きくしていくことが求められています。
住民が安心して暮らせる香川県にしていくためにも、地域医療の発展が欠かせません。その核となるであろう総合診療医の育成のために香川大学講座の新体制、研修プログラムの一本化、新専攻医の獲得に当院の医師養成・プログラムも寄与していきます。