Vol.54

研修医が定着して大きくなる病院

先日全日本民医連研修委員長・プログラム責任者会議があり、全国の指導医の先生方と交流しました。

そもそも医師数の絶対的不足があり、現在の医師の働き方改革をすすめるにあたっても大きな矛盾が指摘されています。今年の後半には全日本民医連として、「医師増やせ」の運動を大きく盛り上げようと計画中です。

しかし、全体の医師数が多くなることも大事ですが、やはり平和病院の医師が増えないと私たちのやりたい医療を継続・維持・拡大していくことは難しく、絵に描いた餅となってしまいます。

そこで、研修委員長会議の分科会や全体会で、研修医が自分の病院で長くがんばりたいという環境をどう作り出すか、一度外部の病院に研修などで離れても再び帰ってくるにはどうしたらいいか、ということで発表やディスカッションがあり、以下の3点にまとめられていました。

①継続的にコミュニケーションをとる
②医療活動(・病院・医局)への愛着を育む
③多種多様な働き方を提供する

文字にすると至極当たり前のことではありますが、実践するとなるとどの研修病院も苦戦しており、どのタイミングにどういった関わりが必要なのか、研修のどの部分に落とし込むのか、について実践例がとりあげられていました。

東海北陸の病院群では研修医によるSDH症例検討会を開催、東京・立川相互病院では通年でオリジナルカリキュラムがいくつか用意され、地域診断やアドボカシー研修が報告されました。アドボカシー研修の題材は例えば、「外国人・仮放免中の骨折患者」という例題で、実際に関わったSWなど他職種にも参加してもらい、議論が盛り上がったそうです。香川では医師団会議でSDH症例発表を数年前から取り組んでいます。

自分たちの大切にしている「誰のために・何のために」の医療活動かをわかりやすく後継に伝える研修であり、これに共感した研修医が一人でも多く、この病院に残って/帰ってがんばりたいと決意してもらえたらと思います。