GW連休前の4月の土曜日午前中に、当院の職場長のほとんどが参加する「目標発表会」がありました。
各職場がなにに焦点をあてて病院全体の目標に貢献するか、について各職場長が発表する毎年の恒例行事です。当院の職場目標は、各職場長が年度始めに「患者・利用者、業務プロセス、人材成長、財務の各視点」について現状とアクションプランにまとめてつくられます。
そのなかで、職場長の多くが『心理的安全性』を職場目標に入れていました。コロナ禍に入ってからの3年くらい前からにわかに脚光をあびているキーワードですが、あらゆる業種・業界でその意義が取り入れられています。もう一度その意義について学ぶために連休中に本を買って読んでみました。
その中では、心理的安全性の高く、目的を達成できる職場では、「Nice(いいね!)」だけではなく、「Kind(思いやり)」のある職場というのがありました。なにか意見が出てきたら、「いいね!」「いいね!」だけではなく(ヌルい職場)、意見の対立を歓迎し、「こうじゃないか、ああじゃないか?」「ああでもない、こうでもない」とどんな意見でも排除されない関係を目指します(学習する職場)。そのなかでチームのあらゆるメンバーから意見や発想が寄せられ、異なる意見がぶつかり合い、違いを乗り越えて創造性が発揮され、チーム全体のパフォーマンスが上がることを目指します。
医療の職場は経験がものを言う側面があるので、現場での経験年長者の言うことが通りやすいということはあると思われます。しかし、心理的安全性が高い職場では、経験が浅くても、中途入職でも、誰であっても、意見が対立しても、お互いを尊重し、同じ目的に向かって協力することができます。
心理的安全性の低い職場では、下の図で示されているように、「サムい職場」「キツい職場」と表現されており、殺伐とした雰囲気の中での仕事を余儀なくされます。
そうならないようにと、本の中では、マネジャーの心構えや考え方、かけるべき言葉や行動のヒントが列挙されています。現場で仕事をしている我が身としては、正直言って、メンバーの協力・思いの共有なしにはここに書いてあることを実行すること、心理的安全性を高めることは達成できないと思いました。自分たちの組織/病院の存在意義である「誰のために・なんのためにの医療活動か」を常に問い続けるスタッフであり、組織であり、目の前の患者さんに実践できる病院でありたいと思います。
(参考:【心理的安全性;最強の教科書:東洋経済新報社】ピョートル・フェリクス・グジバチ著)