Vol.33

多様性を重んじる社会へ 男性育休から考える

現在、中堅の男性医師が3週間の育児休業をしています。前半期の6月にも3週間取得してもらい、11月は後半期となります。病院の中核を担う仕事をしている先生なので、抜けた穴は大きいのですが、みんなで少しずつ荷を分けながら埋め合っています。

厚生労働省が発表している「令和3年度雇用均等基本調査」によると、2021年度の男性の育児休業取得率は13.97%でした。2019年度が7.48%だったため、確実に増加はしていますが、それでも低い数字です。政府は2025年までに30%という目標を掲げており、それには遠く及ばない結果になっています。

男性が育休を取らなかった理由として(育休をとらなかった男性職員1600人を対象とする複数回答アンケート。H29年と古いデータですが)、
1位「業務が繁忙で職場の人手不足:27%」
2位「会社での制度が整備されていない:27%」
3位「職場で育休を取得しづらい雰囲気:25%」
4位「自分にしかできない職務がある:19%」
5位「収入を減らしたくない:15%」と続き、日本の各現場の苦労がわかる結果となっています。

共働きや性別による雇用機会均等が当たり前になり、いまや働き方改革やSDGs、多様性と言われているこの時代に、できるだけ機会と選択肢を準備しておくというのは、企業として当然の社会的責務となってきました。

子育ての人だけ優遇してずるい、という旧来の考え方ではこの時代は先へは進めません。視野を広げて、すべての働く人一人ひとりが大事にされ、居心地のよい、ポジティブな労働環境を考えることが大切です。家族形態、ジェンダー、人生で大切にしている価値観はすべての職員で違います。その多様な職員が集まって、一つの組織として成り立っていけるかどうか、そこを乗り越えた組織としての強みを病院運営に活かしていきたいと思います。

(参考文献:「多様性って何ですか?」羽生祥子;日経BP社)