Vol.23

院内感染と病院運営

先月今月と病棟で胃腸炎のアウトブレイクが起こりましたが、約2週間の経過で収束しました。一度拡がると対策が入って注意していてもなかなか止まらないということを身をもって実感しました。

コロナ感染対策をしていてもそれをすり抜けて感染が拡がる、アルコール消毒では胃腸炎のウイルスは防げない、手洗いが基本、という点でスキがあったかもしれません。一人ひとりの徹底した感染予防が必要と同時に、つくづく、エビデンスに基づいた感染対策が病院の管理運営の意味でも大切なものだということも痛感しました。

リスクマネジメントの観点から院内感染についていくつか指摘されていました。

一つ目は、まずなによりも、患者さんの健康が害されます。本来治療するべき疾患の治療が遅れ、リハビリができないためにADLが落ち、入院期間が長引きます。二つ目は、スタッフの安全が脅かされます。スタッフが感染すること、その休んだスタッフの穴埋めをするために無理を強いることにつながります。三つ目に、病院にとってはベッド運用を制限することで減算にもなり、保健所の改善指導、行政処分に手をとられます。病院の評判も落ち、最悪の場合、訴訟に発展することがあるかもしれません。

この数ヶ月のコロナ感染対策で活躍中の横山看護師ですが、このアウトブレイクでも役割を発揮してくれています。また、植本一医師が近い将来ICD(感染管理医師)の資格もとってくれるということでますます感染管理に厚みをもつことが期待されます。今後も、病院や医療生協、地域連携の中で他の病院や診療所、介護・福祉事業所など地域全体で感染対策を強化していくことにも力を尽くしていきたいです。

今月の職員全体会議「感染対策講習」の様子