Vol.15

ニューノーマル臨床研修

こないだ年が明けたと思ったら、今日がもう今年度最後の管理会議になります。来年度もよろしくお願いします。

今年度は二人の医師が初期研修を開始し、1年が経ちます。新入看護師や看護学生にも同じことが当てはまりますが、卒業前最終学年の春くらいからコロナウイルスの本格的な流行が始まり、病院での臨床実習もかなり制限されてきた学年です。巷ではコロナ世代とも言われており、患者や家族との直接的な診察/説明機会が減っています。

診療の場面では、外来では発熱・呼吸困難・咳など、感冒症状があればコロナ感染が否定されるまではすぐには診察しない病院としての防衛機構があります。リアルに「カゼすら診れない医者」です。また、当院の地域におけるポジショニングもありますが、基幹病院から矢継ぎ早に要請されるポストアキュート患者の転院を受け入れることで、自院で受け入れる救急患者が減っていることも研修機会が減っていることにつながっています。病棟では付き添い・お見舞いの家族や知人がいなくなってしまったことから、患者のことを側面からより深く知ることや、毎日の病状経過を逐一説明・相談するような濃密な病状説明などができなくなっています。

コロナ禍になってから社会の脆弱性が顕著になってきていることから、目に見えて、社会的困難患者が増えています。こういったSDH症例を一例一例丁寧に診ていくことは、初期研修中に行うことにより、これからの医師人生で最も大切な患者観・人権意識を養うことにつながります。

コロナ禍でできるようになったこととしては、県をまたぐような地域・全国的な会議がオンラインでできるようになったことがあります。出張などの病院から離れる機会が減り、身体的・業務的にも負担が少なくなりました。有名講師などの話も自宅で講演を受けることができるようになりました。しかし、直接対面で会って話し合うことや場の臨場感、その場所での偶然の人との出会いなど、かつての時代を取り戻すまでには至っていません。

このwithコロナ時代、ニューノーマルで学び・営みを継続させること、工夫と変化を考え続けることに注力し、新年度もうまずたゆまずがんばっていきましょう。